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いつも春の季節

執筆者の写真: topophilitopophili

アトリエにうつわの蘇生を習いにきてくださる人が少しずつ増えて、また蘇生をお願いしたいというご依頼もいただくと、あぁこのアトリエを開いてよかったと、なんとも言えない安堵感に包まれます。

それはこのアトリエの空気感にもあるかもしれません。

午後になると暖かな陽射しが窓から注ぎ、レース越しにぼんやりと少し黄色の影が床を照らします。

車の音も、鳥の声も、時計の音もしない、心地よい音楽が流れています。

そこでただ、只管に、机の上で修しを待つ器をみて、どのように進めるか、どの色が必要か対話をします。

少しづつ綺麗な元の姿に蘇していると、頭の中は真っ白になりはじめ、

手を休めて一息ついた時、自分の未熟なこと、至らないことなどが頭にポカリと浮かんできます。

そしてまた器の蘇生をを続けると、先ほど頭に浮かんだ自分のことを、

自分の手で直しているような気持ちになって、蘇生の仕上がりが近づくと頃、とても気持ちがすっきりします。

それはまるでいつも春が訪れたときのあのソワソワ、わくわくするような、芽が騒ぎ出す、その瞬間の手前にいる時と似ています。

あぁ、アトリエは、まず自分に必要な場所だったのだと、今、思います。




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