topophili
蜜蜂の引越し
六月を迎え、季節は立夏を過ぎ、水無月に入ると九州から梅雨はどんどん北上し、
梅雨が去ると大地が黙々と湯気をあげ、緑が一層濃く、深くなっているように見えます。
その頃から、わたくし共の畑にも蜜蜂は数々姿を現して忙しそうに舞うのを見かけます。
ある書物によると、蜜を集める蜂とは別に、この時期は新女王蜂に巣を譲るために引越し先を探している蜜蜂が飛来しているそうです。
そう言われてみると蜜を探しているのとは違う蜂の行動を時折見かけます。
蜜蜂は巣の中に蜂がたくさんになると、新しい女王蜂が育てられ、元からいる女王蜂は自分の巣を譲り、半数以上の蜂を従えて新天地へ引越しすると言います。
次の引越し先を下見していた蜂の案内を頼りに、黒い塊になって一気に飛んでいく自然界の世代交代の潔さに感嘆いたします。
わたしくたち人間はどうでしょう。
その蜂の引越し先は、幾個の候補の巣の中で、古巣にもっとも遠くの巣を選ぶそうですから何とも粋な蜂の習性なのでしょう。
わたくしたち人間界は、むしろ近くの巣を選んでいるのではないでしょうか。
