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執筆者の写真topophili

墨で書く


ある銀座の場所で思いがけず写経をしました。

美濃和紙に般若心経を墨汁と墨で書いたのは初めてでしたが、なんと心地よい筆のすべりでしょう。

わたくしは墨をするのも、筆を持つのも日頃の生活ではとんとご無沙汰でした。

実は書道は小学一年生から習い始めたのですが、父が一年毎に転勤する暮らしだったので、

その度に初級から始まることに嫌気をさして小学四年生で辞めた経験があります。

久しぶりに吸う墨汁の香りはこの世とあの世を隔てるような凛とした感じがしました。

書道は行為そのものが美しく、そして禅に似ていると思えたのは歳をかさねたから気づいたことかもしれません。

歳を重ねるのもよいことだと、ふと想いました。


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