桔梗の花が咲く季節になると毎年思い出すお話があります。
それは子供の頃に読んだ”きつねの窓(作:安房直子さん)”です。
ご存知の方も多いと思いますが、お話のあらずじは、
ある少年が真っ青な桔梗畑で子ギツネに出逢います。
何をしているかと尋ねると子ギツネは少年に自分の青く染めた指で作った窓を見せ、
この指の窓の向こうに鉄砲に撃たれて死んだ母ギツネの姿を見ていると話します。
そんなことがあるのかと少年が子ギツネの指の窓を覗くとそこには母ギツネの姿が・・・
驚いた少年は子ギツネに自分の指を青く染めてもらい、指の窓を覗くと昔好きだった女の子の姿が見え、それから母や死んだ妹、焼けてしまった家も見えました。
少年はずっと青い指でいようと思っていたのですが、帰宅してうっかり指を洗ってしまいます・・・。
このお話を読んだ後、私は桔梗で指を青く染めて、指で窓をつくったことがあります。
もちろん、指の窓から懐かしい情景は見えませんでした。
ふと、今こうして指の向こうに見ている景色はもしかしたら過去のものなのかもしれない、そんな不思議な世界に触れた気がしたことを覚えております。
今も桔梗の青い花を店先に見かけるとつい立ち止まり、また指を染めたくなります。
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