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  • 執筆者の写真topophili

1cm


わたくしが社会人として初めて仕事をしたのは広告代理店のアートディレクションというものでした。

当時はパソコンなどなく、印刷物は版下という写植が貼られたもので、

私自身もプロダクションから上げてきた版下をツイザを使って写植をずらしたりしました。

格子の定規をデスクに這わせて版下の上でサイズを測っているとつい切りのよい目盛りの数字でラインを引いたり、カットしたりしてしまいます。

ある時、先輩が言ってきました

「このラインを選んだ意味はちゃんとあるのか?切りが良いからって切ったりしてないか?」

あれから30年ほどになり業種は変わりましたが私はまだ格子の定規を愛用しています。

そして目盛りを決めるたびにこの数字を選んだ意味はあるか?と自分に問います。

インテリアは常に数字が関係してきます。

特に窓周りの商材を発注する時はたかが1cm、されど1cmなのでとても真剣に数字を決めます。

輸入生地は伸びたり縮むものがあるので、そのことを考慮して何度も考えます。

誰もわからないわよ、その1cmなど、と言われますが自分にはよくわかるものなのです。


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